回る背骨

制作メモ

音圧って結局何なの?

マスタリングする時に気になるものとして、音圧というのがある。
音圧論争には不可解な点も多く、実際のところ音圧はどれほど重要なのか。

 

マキシマイザーとは

マスタリングで音圧を上げる目的で使われる。
リミッターの場合もゲインを上げていくと、平均的な音量は上がり、ピークが抑えられていくが、極端にかけるとコンプのかかりまくった不自然な音になる。
マキシマイザーはそこに何かしらの加工を加えて、いい感じに平均的な音量を上げるものと考えていいだろう。
 

音圧を上げるということ

音源のピークを抑えて音圧を上げるための典型的な方法は、可聴域を超えるような高周波数帯や低周波数帯の音をカットするとか、突発的なノイズを抑えるとかである。
これらは音楽的な内容に影響を与えにくい。

次に可聴域の周波数帯の中で、必要以上に音が集まっていたすることがある。例えばバスドラムやキックなどの低音が重なってしまうなど。
ミックスの段階に戻れるなら、各トラックを見直してバランスを取り直してもいいが、すでにミックスダウンを終えたステレオファイルをマスタリングする場合は、EQやマルチバンドのコンプレッサーで周波数帯ごとに加工する場合がある。
この場合は実際に聞こえている音を積極的に加工することになるので、下手をすると変なものが出来上がってしまう。

 

音をリッチにする?

なるべく元の状態を保ったまま(ミックスダウンした音源のまま)マスタリング出来ればいいはずだが、場合によっては積極的に音圧を上げることで音をリッチにしようとすることもある。
この点は僕にとっては不可解というか、ミックスの段階での話しならわかるけど、マスタリングの段階で無理に音圧を上げようとすれば、本来意図したダイナミクスが失われてしまう。
EDMとかの音作りの一環として音圧を上げるのはアリだけど、マスタリングで急に音圧を意識しても中途半端なものになる気がする。

音圧戦争

それでもマスタリングで音圧を上げる必要があることもある。
テレビやラジオなどで音楽が流れる場合に、音が大きく聞こえたほうがインパクトが大きくなるからである。

そもそも、音圧とは?

「音圧」という言葉は、「聴覚上の音の大きさ」「ラウドネス」とか「平均的な音量」と同じ意味だ。
例えば、テレビの音量などはリモコンで調整できるが、同じボリュームなのに、大きく聞こえたり、小さく聞こえたりすることがないだろうか?
わかりやすいところでいえば、CMや映画の予告のナレーターはやたらと迫力があるが、宣伝という目的のために、大きく聞こえる音で注意を惹いている。

 

コマーシャルな目的のために、「なるべく元の状態を保ったまま」という前提を無視してでも、「音圧」を上げることがあり、これは音圧戦争(=Loudness war)などと揶揄される。


実際にはTPOに合わせて調整するしかないだろう。
例えばある曲がCMに使われることになったら、インパクトを残すために多少強引にでも音圧を上げる。
アルバムとして曲をまとめる場合には、自然な状態を保ちながら各トラックのバランスをとるといった風に。
総じて思うのは音圧というのは中々扱いが難しく、拘り過ぎると制作が前に進まないのではということだ。