回る背骨

制作メモ

音の三要素

音には3つの要素があるといわれている。「音程」「音色」「音量」だ。
現実に存在している音についてなら、あまり細かく考えなくてもいいんだけど、コンピューターで音作りをする場合、ある程度音について分析しないと再現できないし、デジタルならではの長所(現実にありえない音を人工的に生成するなど)を活用するのはそれ以上に難しい。

一.音程と周波数
二.音色と倍音
三.音量の時間変化


一.音程と周波数

1秒間に1度の振動を1Hz(ヘルツ)と呼ぶ。
音はこの空気の振動が耳を通して伝わることで生まれる。

音程の基準になる「A4(ラ)」の音は、「440Hz」とされている。
空気の振動を観察し、1秒間に440回揺れる周波数を、「A4(ラ)」と呼ぶことに決めたわけだ。(今日では国際的な基準になっているが、クラシックの楽団などによっては独自の基準を持っていたりするらしい)

「A4」より半音高い「A4#」は「466.16Hz」だが、人の耳は半音の100分の5(5セント)の違いまで知覚できるらしい。

音階と周波数の関係ということでいうと、「A4」の「440Hz」を基準として1オクターブ上の「A5」は倍の周波数となる「880Hz」、1オクターブ下の「A3」は半分の「220Hz」となる。
つまり人間の耳が二つの音を同じ音程(この場合ラ)に感じるとき、周波数比は整数倍になる。

また、他の音程についても周波数比が決められている。
・周波数比が1:2の2音の音程は、完全8度(=オクターブ)
・周波数比が2:3の2音の音程は、完全5度
・周波数比が3:4の2音の音程は、完全4度
・周波数比が4:5の2音の音程は、長3度

また、人の可聴域は「20 Hz から 20 kHz (20,000Hz)」とされており、会話のほとんどは 「200 Hz から 8,000 Hz」の間で行われ、「1,000 Hz から 3,500 Hz」で人間の耳は最も感度が高くなると言われている。



二.音色と倍音

基音の周波数に対し、2以上の整数倍の周波数を持つ音(=基音のオクターブ高の音)は倍音と呼ばれ、その構成によって音色に違いが生まれる。

例えばシンセサイザーの基本波形でいうと、
・正弦波 (Sine)は、倍音を持っていない
・鋸歯状波 (Saw)は、基音の全ての倍音を含んでいる
矩形波 (Square)」と三角波 (Triangle)は、奇数倍音だけを含む(三角波は高い倍音成分が急速に小さくなり、正弦波に似た柔らかい音になる)

そのため、正弦波をフィルターに通しても、削る倍音がないため効果はなく、鋸歯状歯は全ての倍音を含むため大きな変化を感じられる。

楽器や人の声なども主に基音と倍音から成り立っていて、倍音の構成比が音の骨格を決定する。
例えばピアノの「A4(ラ)」の音も、「440Hz」の周波数の音だけでなく、数オクターブ高い音や低い音など色々な周期の音が混ざって、全体として「A4(ラ)」の音程を持ったピアノの音に聞こえるということだ。
これらの音は倍音(整数倍の周波数)で構成されているため、周期がきれいに交じり合い、美しい楽器の音に聞こえる。逆にドラムなどの打楽器(や雑音)の場合は、倍音以外の周波数を多く持っているため、ピアノのような音楽的な響きにはならず、音程もはっきりしない。

また、ピアノの音を一つだけサンプリングして、人工的に音程だけ変化させると、元の音程から離れるほど、本物の音とは違う不自然な音になっていく。
現実の楽器の音は全周波数が均一に上下するのではなく、音色の核となる特有の周波数帯を楽器ごとに保持しているからだろう。

また、シンセサイザーで人工的に二つの音を合成する時のテクニックとして、わざとチューニングを「完全五度」とかずらすケースもある。音程は異なるので和音(ハーモニー)なのだが、音作りの工程で行われることも多く、音楽的な音の全てが必ずしも倍音だけで構成されるわけではなさそうだ。(正直僕もよくわかってないぜ)

 

こうしていろいろな周波数が複雑に交じり合っているのに、我々はどうして「音の高さ」を判定できるのか?
簡単に考えれば、音量の大きい周波数を音程と感じることが多いだろうが、楽器によっては時間の変化によって周波数の音量構成が変わったりもする。
そもそも何で人間はそんな風に音を識別し、それによって感動したりする能力を持ったのか?考えてみれば不思議な話だ。



三.音量の時間変化

同じ周波数の波形を二つ組み合わせれば、倍の大きさの音になる。
「ドン」と「ドン」が合わさって『ドン』になる感じだ。
しかし音量にはそうした単純な音の大きさ以外に、楽器自体の音の聞こえ方にも大きな影響を与える。前述のとおり楽器は様々な周波数の音を含んでいるが、周波数ごとの音量比が時間ごとに変化することで音の印象はまた変わるからだ。

例えばアコースティックギターであれば、「ピックの音」「ピックで叩いた弦の音」「弦が振動して鳴る音」「ボディが共鳴した音」などで構成されるが、それらの音は立ち上がり方や音が消えるまでの時間が異なり、共鳴音一つとってみても高い音と低い音ではやはり違った時間変化をする。
ギターとバイオリンは音の倍音構成が非常に似ているが、演奏方法が違いなどもあって、この音量変化の仕方が大きく異なる。そしてそれが、それぞれの楽器の特色となっている。
音の種類は「倍音の構成×時間的変化」の組み合わせの数だけ存在することになる。
 

参考にしたページ:

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%8D%E9%9F%B3

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E9%AB%98

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E7%A8%8B