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制作メモ

Ableton Live 9 のブラウザが悩ましい!便利な使い方とファイル整理のポイント

よく分からないLive 9のブラウザの使い方

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Live 9のブラウザは「Sounds」「Drums」「Instruments」などカテゴリーに分かれていて、カテゴリーを選択すると該当するファイルが表示される。
しかし、初期プリセットから追加パックやユーザープリセットまで全て表示されるため、ここから必要な音を探すのは大変だ。

また、Liveにはユーザーライブラリというのがあり、ここに自分の作ったプリセットは保存されるようになっているが、ブラウザのしくみを理解しておかないと快適に使いこなすのが難しい!

 

Packには公式と非公式がある!?

Packは次々に新しいものが発表されていて、Liveの機能を拡張したり音源を増やすことができる。
しかしファイル管理の面からいうとけっこうわかりづらい。Packという言葉にはいくつか意味があるので下記にまとめた。(ちなみに自分の環境はMacなので、Windowsだと異なる部分があるかもしれません)

  1. Ableton公式のPack
    Liveのブラウザ「Pack」に表示されるのは、全てAbleton公式のパックで、不要なパックだからといってブラウザから表示/非表示を変えたりできない。Live付属のシンセやエフェクトと同じである。*1

  2. PackをインストールするためのPack
    ちょっとややこしいのが、パックはダウンロードしたものをそのまま使うわけではなく、Ableton Liveにインストールする必要がある。
    このインストーラーもパックと呼ばれており、ファイルの拡張子は「.alp」になる。インストール後このファイルは不要なので削除する。

  3. 自分でも作れる圧縮Pack
    自分のプロジェクトをPackとしてまとめることができる。「ファイルメニュー>ファイルを管理>プロジェクトを管理>パッキング」
    可逆圧縮で最大50%もファイルサイズを縮小できるらしい。圧縮後のファイルは2と同じで拡張子は「.alp」だが、Ableton公式Packのように、Packとしてインストールされるのではなく、パッケージの圧縮/解凍を行うだけである。

  4. 誰かが作った圧縮Pack
    Ableton以外で公開されている誰かが作ったPackも同様で、解凍するだけではブラウザに表示されないし、読み込まれない。解凍したファイルは探しやすいように専用のフォルダを作って、まとめておくといいだろう。

 

プリセットやM4Lデバイス

Packだけでなく、インストゥルメントやラックのプリセットも、はじめからあるものや公式Packで拡張したものはブラウザに表示されるが、Ableton以外からダウンロードした場合、ブラウザには表示されない。また、トラックに読み込んでもロケーションは管理されない。これも自分でわかりやすいようにフォルダを作って、まとめておくといいだろう。

Max for Live.comなどでダウンロードしたM4Lデバイスも同様なので、(くどいようだが)自分で分かりやすいようにフォルダを作っておき、まとめておくことをおすすめする。

 

ユーザーライブラリ

自分で作ったインストゥルメントやラックのプリセットは「User Library」に保存される。
初期プリセットやダウンロードしたプリセットなども、保存ボタンを押すことでここにコピーが作られるので、気に入ったものを集めておくことができる。(ブックマーク的に使える)

ユーザーライブラリのロケーションは「環境設定>ライブラリ」で変更できる。

なお、Abletonでプリセットを保存する時に、デバイスの保存ボタンを使わず、デバイスのタイトルバーをクリックして、ブラウザーにドラッグすると、好きな場所に保存できる。

 

2017年4月追記=============================

ユーザーライブラリはブックマーク的な使い方が出来るが、最初からある「Preset」のフォルダを使う意味は特にない。
ユーザーライブラリには「Preset」というフォルダがあって、その中にインストゥルメントごとにフォルダが用意されているが、違うインストゥルメントのプリセットでも保存できるし、全然別の場所に移動しても問題ない。
用意されたフォルダをそのまま使ってもいいが、自分で好きな場所にフォルダを作ることも出来る。
「.adg」「.adv」などのお気に入りプリセットは、どこにどんなフォルダ構造を作ってまとめるのも自由で、ユーザーライブラリの中に作る必要すらない。使いやすいようにLiveのブラウザに表示させるだけでいい。
ちなみに、ユーザーライブラリ内に置かれたプリセットは、Liveブラウザの上部カテゴリーにも表示されるようになる。「カテゴリーはあんまり使わないし、純正のプリセットだけ表示させとけばいいや」という人は、ユーザーライブラリの外にプリセットフォルダを作ればいい。 
 
・サンプルの管理
上記のように、プリセットは「Sampler」のものも含めて自由に作成や移動することが出来るが、サンプル自体を動かすと関連付けを失ってしまう。
最初プリセットファイルと音源の場所には相対的な関係があるのかと思ったが、実際には音源だけがロケーション管理されている。
このことはLiveの音源は移動すれば必ずリンク切れになってしまうことを意味する。
なので他所からSamplerの音源付きプリセットをダウンロードした場合も、リンクの修正が必要になる。プリセットとサンプルが相対パスで結びついていれば、まとめて移動することが出来るのだが。
なお、リンク切れになったファイルは移動先のフォルダを指定すればすぐに修復してくれる。

Abletonのファイル管理でもう一つ厄介なのは、ユーザーライブラリの外にあるサンプル音源を必ずコピーしてしまうこと。
例えば他のDAWサンプラーなどで使用している音源の場合、Liveのユーザーライブラリーと別のところに置いてあると思うが、これをLiveでも使おうとすると、いちいちコピーを作成してしまう。
サンプル音源によってはそれなりに容量があるので、内臓のHDDだとすぐにいっぱいになるし、サンプラーの形式ごとに別々に管理するのは手間だ。
なので、自分はユーザーライブラリに外付けのHDDを指定して、その中にLive以外のサンプラー形式も含め、全ての音源を置いている。
具体的にいうと、Wav素材のワンショットとかKontakt用の音源フォルダなんかもLiveのユーザーライブラリ内にまとめてしまった。(Live以外のシステムがメインの人には難しい方法だが)
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ブラウザに手動でフォルダを追加する

ブラウザの一番下にある「+フォルダを追加…」で任意のローカルフォルダをブラウザに表示させることができる。

例えば下記の3つあたりを追加しておくと便利だ。

  1. プロジェクトファイル
    保存したデータを読み込むときに。

  2. ダウンロードした非公式のパック、プリセット、M4Lデバイス
    Ableton以外のサイトで音源とかプリセットをダウンロードした場合は、フォルダを用意して決められた場所に解凍(ロケート)しておき、ブラウザからアクセスする。公式のPackとは分けておくのがポイント。

  3. サンプルなどの素材
    サンプルやループとかMIDIなんかの素材もフォルダを用意して、ブラウザで選べるようにしておくと便利。
    (なお、SimplerやSamplerでサンプルを読み込むと、User Libraryに自動でコピーが作成されます。これを止めるには、あらかじめUser Libraryのフォルダ内のどこかにサンプルを置いておけばOKなようです。放っておくとタグ付けもフォルダ分けもなく1つのフォルダ(User Library > Samples > Inported)にサンプルが放り込まれていくので、後で管理するのが大変になります)

 

付録:Ableton Live で使われる拡張子
  • .adg Ableton Live Device Group インストゥルメントラック、ドラムラック、エフェクトラックなどのラック(デバイスグループ)のプリセット。
  • .adv Ableton Live Device Preset インストゥルメントやエフェクト、M4Lデバイスのプリセット。*2
  • .agr Ableton Groove File グルーヴファイル。クリップに加えられたタイミングなどの変更。
  • .alc Ableton Live Clip Liveクリップ。読み込むサンプルやMIDI情報を含む。
  • .alp Ableton Live Pack Liveパック。Abletonのストアで手に入るパックをインストールするためのもの。またはLiveセットを圧縮したもの。
  • .als Ableton Live Set Liveセット。プロジェクト全体を保存したり、テンプレートとして読み込める。
  • .ams Ableton Meta Sound Operatorでユーザーが作成した加算合成の波形。
  • .amxd Ableton Max for Live Device M4Lで作られたインストゥルメントやエフェクト。
  • .asd Ableton Warp Analysis File 分析ファイル。サンプルを読み込むときにLiveが自動的に作成する。
  • .ask Ableton Live Skin Live用スキンファイル。

*1:公式Packの中身はM4Lデバイスだったり、プロジェクトファイルだったり、ラックのプリセットだったり様々で、正体はパッケージ化されているフォルダのようだ(そのため拡張子はない)。カテゴリー情報などをLiveのシステム上で管理しているらしく、複製して(非公式Packのように)読み込むと、Liveのブラウザに表示させずに使用できる。ただし、Packのレッスンが見れなくなったり、サンプルのロケーションを見失ってしまったりする。

*2:M4Lの拡張子は「.amxd」だが、Liveでプリセット保存すると「.adv」になる。つまりLiveはM4LデバイスをLive付属のデバイス(AnalogやOperator、あるいはエフェクトなど)と同じように一つのデバイスとして扱っていて、M4Lデバイス上のパラメーターをプリセットとして保存することができる。パッチ自体のバージョンを保存する場合は.amxdで保存し、パラメーターの変更は.advで保存する必要がある。